ランダム配向成形の特徴
ランダム配向成形とは
ランダム配向成形は、2024年1月に当社で独自に開発したIMPブロック専用の加工方法です。
ランダム配向とは従来の固定したゲートではなく、射出行程中ゲートを動かし、配向を崩すように溶接樹脂を射出する加工技術です。
この加工方法によりガラス繊維やカーボン繊維等の繊維状添加剤の入った材料による繊維配向の異方性を低減させ、ランダム配向にすることに成功しました。
ランダム配向成形ブロックの特徴
- ① 従来のIMPブロックで成形が困難だった材料に対応できます。(下記成功例を参照)
- ② 上記材料でも肉厚化できます。
- ③ ランダム配向のため、切削生の向上、具体的には切削時の変形が抑えられます。
- ④ 積層成形と異なり、積層界面が無く、無垢で成形できます。
- ⑤ 従来のIMPブロックと同様の短納期・低価格でブロックを製造できます。
ランダム配向成形ブロックサイズ
110mm×110mm×5mm~80mm(2024年9月現在)
サイズのみとなっています。
順次サイズを増やしていきますので、直近の情報はお問い合わせいただければ幸いです。
従来のIMPブロックで成形が困難であった材料・ブロック厚さに対応できます
2024年1月~2024年9月までの製造履歴を下記に示します。
材料種類 | メーカー | 性能 | グレード | サイズ |
---|---|---|---|---|
PBT | ポリプラ | GF15% | 3105 | □110×10t |
PA6T | EMS | GF40% | HT1V-4FWA | □110×58t |
PPS | DIC | CF/熱伝導 | CZ-2060 | □110×40t |
PBT | MEP | GF30% | 5710G30V | □110×35t |
PA9T | クラレ | GF30% | G1300A | □110×60t |
PA9T | クラレ | GF35% | G1350A | □110×30t |
PA9T | クラレ | GF30% | GP2300F | □110×30t |
PA9T | クラレ | GF50% | G1500A | □110×50t |
PPS | 東ソー | GF+PTFE | FG-11 | □110×20t |
PPS | ポリプラ | 6165A6 | GF+MD 65% | □110×50t |
PPS | ポリプラ | 6565A6 | GF+MD 65% | □110×50t |
PBT | MEP | GF30% | 5010G30TZ | □110×20t |
LCP | 上野 | GF30% | 5030G | □110×50t |
LCP | 上野 | GF+MD 50% | 5050GM | □110×50t |
LCP | 上野 | GF40% | GT605 | □110×40t |
ランダム配向のため、切削性の向上、具体的には切削時の変形が抑えられる
切削性の向上には繊維配向の異方性を極力なくす必要があります。アニールによる応力緩和も重要ですが、繊維配向が強い場合、アニールによる応力緩和を阻害してしまいます。
ランダム配向成形では下記に示す通り、ブロックに対する縦横の強度差がほぼ無いことから繊維配向がランダムになっていることが理解できると思います。
【試験条件】
材質:PA66-GF50wt%
試験片サイズ:12mm 幅 4mm 厚さ 1200mm 厚さ
試験方法:曲げ試験(3点曲げ 支点間距離 50mm)
ランダム配向成形によるIMPブロック試験片:厚さ中央部を縦横に配置し切削加工にて短冊を制作(ブロックサイズ:110mm×110mm×10mmt・20mmt)
カタログスペック曲げ強度:絶乾 387MPa 吸水 284MPa
※ゲート位置は表記していません。ゲートを動かすことで成立しているブロックです。
下記に従来のIMPブロックによる曲げ強度結果を示します。(ブロックサイズ:100mm×205mm×10mmt・20mmt)
材質を含め各種条件を同じとした際の強度差を示しています。
固定されたゲートであるために、ゲート基準のMD/TD方向の強度が2倍異なっていることが分かります。
これは明らかに配向の差であり、通常のIMPブロックでは繊維配向が大きく現れ、ランダム配向成形は配向の異方性が極端に少ないことが解ります。
繊維状添加物の入ったブロックにおいて、切削加工時に生じる応力開放により製品が変形してしまい寸法が出ず、加工に苦労している場合などはお勧めいたします。
※ゲート位置を表記しています。固定されたゲートで制作したブロックです。